FAQリッチリザルト廃止で「構造化データは意味がない」と思う前に問い直したいこと

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FAQリッチリザルト廃止で「構造化データは意味がない」と思う前に問い直したいこと

そもそも構造化データは何のための実装か

構造化データを実装する動機は、「リッチリザルトを出すため」に集約されがちです。しかし本来の役割は、ページの情報が何を意味しているかを、検索エンジンや音声アシスタント、生成AIなどの機械が読み取れる形で明示することにあります。リッチリザルトはその表現の一形態にすぎず、目的そのものではありません。この前提を押さえておくと、今回のFAQリッチリザルト廃止という出来事の受け止め方が変わってきます。

事実:FAQリッチリザルトの廃止

Googleは2023年8月、FAQリッチリザルトの表示対象を政府機関・保健機関サイトなどに大幅に絞り込んでいました。さらに2026年5月7日をもって、この限定対象を含めてFAQリッチリザルト機能自体が検索結果に表示されなくなりました。Google Search Central公式ドキュメントでも同年6月にFAQリッチリザルトの解説ページそのものが削除されており、機能終了は確定した動きと見てよさそうです(なお、Search Consoleの拡張性レポートやAPIについて、FAQPageに固有の終了時期を明記した一次情報は確認できていません)。つまり現状は「表示対象が狭い」段階を超え、「機能自体が提供されていない」状態に近いということです。

一方でGoogleは、既存のFAQPage構造化データを削除する必要はないという立場を示しています。未使用の構造化データがSearchに問題を起こすことはない、という説明も付されています。

「意味がない」という反応の背景

この廃止を受けて「構造化データはもう意味がない」と感じる反応は、自然なものです。ただし、その反応の背景をよく見ると、見た目のご褒美(検索結果でのリッチな表示)が実装の目的そのものになっていたケースが多いことに気づきます。それが消えれば「無駄だった」と感じるのは当然ですが、これは構造化データという行為の価値と、リッチリザルトという一つの見返りを混同している状態です。

cdef.site自身の例から

cdef.site自身にも/faq/というページがあり、FAQPageスキーマを実装しています。リッチリザルトとしての表示効果はすでに失われましたが、質問と回答という情報の構造を明示すること自体は、リッチリザルトの有無とは独立した価値を持つと考えています。音声アシスタントでの読み上げ、生成AIが情報を参照・引用する際の手がかりなど、機械可読性が効いてくる場面はリッチリザルト以外にも複数あります。

考察:「意味がない」のではなく「見返りの種類が変わった」

リッチリザルトという直接的・視覚的な見返りは、たしかに失われました。しかし構造化データが担っていた「情報の意味を機械に伝える」という基本機能は変わっていません。見返りが「検索結果での見た目の変化」から「AIが正確に参照できるかどうか」という、より間接的で測定しにくいものへと移行したと捉えるのが、実態に近い理解だと考えています。

基本に忠実であることの長期的な効き

小手先の最適化、つまりリッチリザルトを出すためだけのテクニックは、表示仕様が変われば無効化されます。一方、「情報の構造を正しく伝える」という基本行為は、表示形式が何であれ価値を持ち続けます。今回の廃止は、後者に忠実であることの意味を再確認する機会だと捉えています。

まとめ

FAQリッチリザルトの廃止は、構造化データの意味を失わせたわけではありません。むしろ、何のための実装だったかを問い直す良いタイミングです。実際に既存のFAQPageスキーマを削除すべきか、それとも残すべきかという実務判断については、次回に回します。

著者:稲本浩介

著者:稲本浩介

コミュニケーション設計所代表 / 情報アーキテクト

「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。

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