実店舗企業がECで失敗する3つのパターン

公開日:2025/10/09

この記事をざっくりまとめると・・・

実店舗企業がECサイトで失敗する3つのパターンと、始める前に決めるべき「実店舗とECの関係性」について解説。組織として方針を明確にしないと、現場は動けません。

・・・ということが書いてあります。

実店舗企業がECで失敗する3つのパターン

実店舗ですでに事業を行なわれている企業さまより「ECサイトを作りたい」という相談をこれまでもよくいただいてきました。

でも、「ECサイトを作る」前に決めるべきことがあります。それは「実店舗とECの関係性」です。

これが曖昧なまま始めると、必ずうまくいきません。しかも、現場がどれだけ頑張っても、組織として関係性を明確にしなければ、せっかく時間をかけて考えた施策が「なんとなく」で終わってしまいます。

私が見てきた失敗パターンを3つ、お伝えします。

失敗パターン1: 実店舗との関係性を決めていない

– 何が起きるか

ある全国展開の企業様での事例です。

実店舗は地域ごとに若干のエリア差がありました。それは事業上の都合として理解できます。しかし、ECサイトは全国対象。当然、顧客(消費者)は「同じブランド」として見ています。

ところが、ECサイト上でもそのエリア差が反映されてしまい、サービスに差が出てしまいました。

顧客にとって、事業側の都合ははっきり言って「どうでもいい話」です。

同じブランドなのに、地域によってサービスが違う。これは顧客からすれば「なぜ?」でしかありません。もちろん、その「なぜ?」に対して、説明ができればいいのですが、私の経験上それは説明のできないものであり、その理由は顧客にとって「どうでもいい話」であることが多いです。

– なぜこうなるのか

もちろん、社内の都合や若干の政治的な意味合いがある場合は仕方のないことではありますが、比較的多いなという印象が強いのが「実店舗部門とWeb部門の情報共有ができていないこと」です。

  • 店舗は店舗の論理で動く
  • ECはECの論理で動く
  • 会社としては「両方やれ」と言うだけ

結果、顧客満足度が下がります。

– 本来どうすべきか

最初に会社として決めるべきことは:

□ ECは実店舗の「協力」なのか「棲み分け」なのか?

どちらでも構いません。大事なのは明確にすることです。方針と言ってもいいかもしれません。

例えば、協力なら:

  • 情報共有の仕組みを作る
  • 在庫連携の方法を決める
  • 店舗スタッフにECの存在を周知する

例えば、棲み分けなら:

  • 商品の違いを明確にする
  • それぞれの役割を定義する
  • 顧客に「違い」を正しく伝える

曖昧なまま現場に任せてしまうと、現場は動けません。仮に動けば、勝手な解釈で進むということもありえます。

この関係性の定義は、現場レベルでは決められません。意思決定者にしかできない、最初の重要な判断です。

失敗パターン2: 「協力」と言いつつ、実態は「競合」

– 勘違いされがちなこと

部門間という違いがあるからなのかもしれませんが、「棲み分け=競合」と思われがちです。しかし、これは大きな枠組みから考えると明らかに違います。

棲み分けは必要です。でも、競合になる必要はありません。

むしろ、適切に棲み分けることで、相乗効果が生まれます。競合になってはいけないのです。

– 協力の実例

実店舗の施策をECサイトで告知し、店舗誘導する

例えば:

  • 店舗限定セールをECで告知
  • ECで商品を見て、店舗で購入
  • 店舗で試着して、ECで注文

これが機能するには、実店舗とECの協力体制が必須です。この時ECサイトは販売店の役割から一時的に広報機能の役割を持っていることがお分かりいただけますか?

ところが、協力体制ができていないと:

  • ECサイトのアクセス数という資産を活かせない
  • せっかくの集客チャンスを逃す
  • 情報が分断して、顧客が混乱する

– 棲み分けの実例

ECならではのカラー展開や特別な商品構成

例えば:

  • 店舗:定番商品中心
  • EC:限定カラー、セット商品、大型商品

こうすることで:

  • 店舗とECは競合しない
  • それぞれの強みを活かせる
  • 結果的に連携力が上がる

– なぜ「競合視点」から抜けられないのか

多くの企業で「実店舗 vs EC」という対立構造になります。

現場レベルでは:

  • 店舗部門は「ECに客を取られる」と思う
  • EC部門は「店舗が協力してくれない」と思う

これは、組織として関係性を定義していないことが原因です。

トップが「実店舗とECは協力関係だ」と明確に示せば、現場はそれに従って動けます。方針が曖昧だと、現場は自己防衛に走ります。この自己防衛は極めて自然なことです。だからこその号令が必要だと私は思います。

失敗パターン3: 運用体制を決めずに始める

– 何が起きるか

「とりあえずECサイトを作ろう」で始めると:

  • 誰が更新するのか決まっていない
  • 問い合わせ対応が後回しになる
  • データ分析をしない
  • 結果:作っただけで終わる

作ることがゴールではありません。ちゃんと運用することが必要です。そして、売上を上げることがゴールです。

– 本来どうすべきか

組織として決めるべきこと:

□ 担当者を明確にする(兼任なら、週何時間を割けるか)
□ 店舗スタッフとの連携方法を決める
□ 売上目標を設定する
□ 予算を確保する

現場に「よろしく」では、うまくいきません。

会社として、EC事業にどれだけリソースを割くのか。これを最初に決める必要があります。ついついECは人が少なくて済む・・という感覚を持たれますが、一つ店舗を作ると考えるとそれなりの役割の人が必要になってくるのです。ECは確かにネット空間のことではありますが、その先にある顧客は実店舗の顧客と何も変わらないということを忘れてはいけません。

まとめ:最初に決めるべきこと

ECサイトで失敗する企業の共通点は、組織として関係性を定義していないことです。時に私は、「ECサイトのあり方」という表現もしますが、とにかく「なんとなく」始めてはいけません。

現場がどれだけ頑張っても、会社として方針を明確にしなければ、結局「希望」で終わります。

私はこれまで、現場が状況を理解していても、体制が変化せずにただ苦労して続けているだけのケースを数多く見てきました。

だからこそ、意思決定者の方に届けたい。

ECを始める前に、まず決めてください:

  1. 実店舗とECの関係性(協力? 棲み分け?)
  2. 情報共有と連携の仕組み
  3. 運用体制と責任者

これが明確なら、施策も体制も自然と決まります。

私たちは、この「あり方の設計」から一緒に考えます。

実店舗×ECの関係性について、一緒に考えてみませんか?

無料相談はこちらからお気軽にお声掛けください。

代表 稲本浩介

著者:稲本浩介

コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる 。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina

FAQ

ときどきお尋ねいただくことをまとめました。

ECサイトの構築はできますか?
ご要望やご予算に応じて、モールへの出店、出品、自社ECの構築など最適なものをご提案いたします。ECサイトと言っても、商品構成や運用体制、顧客との関わり方などによって、構築方法や運用方法は大きく異なります。しっかりとした継続運用ができる環境を整えることができるよう一緒に考えましょう。
なお、弊社はmakeshopとパートナー契約を結んでおります。
商品の販促に関して相談することはできますか?
もちろんです。私たちはデジタルを活用した販促活動にこだわることなく、時にはアナログ(フィジカル)な販促活動もご提案します。様々な手法やツールを網羅的に把握することで最適解を導き出し、ご提案いたします。
ウェブサイトの解析はできますか?
主に、GoogleAnalytics(GA4)を活用し、解析を行います。サイトの特性に応じて解析期間などを設け、定期的にレポーティングも可能です。可能であれば一定期間のお取り組みの中で解析と改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことができればと考えております。