情報設計とは何か?ウェブサイトで実践する3つの視点 — 情報アーキテクトが解説
公開日:2025/11/27
この記事をざっくりまとめると・・・
情報は載っているのにCVRが伸びない?情報設計(IA)の専門家が、ウェブ担当者が陥りがちな3つの落とし穴と、明日から実践できる3つの視点を解説。「整理」と「設計」の違いから、伝わる構造の作り方まで、10年の経験をもとにお伝えします。
・・・ということが書いてあります。
「情報は載っている」のに、なぜ売れないのか?

商品情報は充実している。写真もきれい。SEO対策もバッチリ。流入も増えている。
それなのに、なぜかコンバージョンが伸びない。
もしかすると、あなたのサイトに欠けているのは「情報」ではなく、「情報設計」かもしれません。
情報アーキテクト(IA)として10年間、EC事業の構築から企業サイトの改善まで、さまざまなプロジェクトに携わってきました。その中で気づいたのは、多くのサイトが「情報を載せること」に必死になっている一方で、「その情報をどう構造化し、どう伝えるか」という設計が抜け落ちているということです。
情報設計とは何か。そして、ウェブ担当者が明日から実践できる情報設計の視点とは何か。
今日は、私の経験をもとに、そのポイントをお伝えします。
情報設計(IA)とは、「伝わる構造」を作ること

情報設計(Information Architecture / IA)は、よく「サイトマップを作ること」「ナビゲーションを整理すること」だと誤解されます。
もちろん、それらも情報設計の一部です。でも、本質はもっと根本的なところにあります。
私はこのように考えています。
情報設計とは、情報を「ユーザーが理解し、行動できる形」に構造化することです。
たとえば、こんな経験はありませんか?
- ✅ 商品情報はたくさん載っているのに、どれを選べばいいか分からない
- ✅ サイトを見終わったけど、結局何をすればいいのか分からない
- ✅ 知りたい情報はあるはずなのに、どこにあるのか見つけられない
これらはすべて、「情報はあるけど、設計がない」状態です。
情報は整理されているのに、ユーザーが迷ってしまう。
それは「整理」と「設計」が違うからです。
整理は、情報をカテゴリーに分けること。
設計は、ユーザーの行動に沿って構造化すること。
整理はできているけど、設計ができていない。
これが、多くのサイトの現状なのです。
情報設計の役割は、ユーザーが迷わず、理解し、次の行動に進める道筋を作ることなのです。
ウェブ担当者が陥りがちな3つの「情報設計の落とし穴」

多くのウェブ担当者は、無意識のうちに以下のような落とし穴にはまっています。
落とし穴1:「全部載せれば伝わる」という思い込み
「とにかく情報を充実させよう」。その気持ちは分かります。
でも、情報量と伝わりやすさは比例しません。むしろ、情報が多すぎると、ユーザーは迷い、疲れ、離脱します。
認知心理学では、人が一度に処理できる情報は限られていると言われています。
想像してみてください。居酒屋で「今日のおすすめは?」と聞いて、10個も20個も情報を渡されたら、逆に選べなくなりますよね?
ウェブサイトも同じです。あれもこれも詰め込むと、結局何も伝わらなくなるのです。
落とし穴2:「作り手の論理」で情報を並べている
サイトの構造は、誰の視点で作られていますか?
- 🤔 「会社の組織図」に合わせてメニューを作っていませんか?
- 🤔 「商品カテゴリー」を、社内の分類でそのまま並べていませんか?
- 🤔 「担当部署ごと」にページが分かれていませんか?
これらはすべて「作り手の論理」です。
ユーザーは、あなたの会社の組織構造を知りません。商品の社内分類も知りません。彼らは、自分の課題や欲求を起点に、情報を探しているのです。
情報設計とは、作り手の論理をユーザーの論理に翻訳することでもあります。
落とし穴3:「サイトですべて完結させようとする」
これは、私が10年前に学んだ一番の教訓です。
ある機械メーカーのクライアントに、「このイラストを3D化して、もっと分かりやすくしましょう」と提案したときのことです。
返ってきた言葉は、衝撃的でした。
「わかりやすくしなくていいです」
(詳しくは以前の記事「ウェブサイトの役割を見失わないために|『わかりやすくしなくていい』と言われた日」をご覧ください)
この経験から学んだのは、サイトの役割は「すべてを伝えること」ではなく、「次のアクションへの橋渡し」だということです。
情報設計においては、「何を載せるか」と同じくらい、「何を載せないか」が重要なのです。
もっと言えば、「このサイトでどこまで伝えて次に繋げていくのか?」です。重要なのは「次に・・」の部分です。
ウェブ担当者が実践すべき、情報設計の3つの視点

では、具体的にどうすればいいのか。私が実践している3つの視点をお伝えします。
視点1:サイトの「役割」を定義する
まず、あなたのサイトは何のために存在していますか?
- ☑️ 商品を売るため?
- ☑️ 問い合わせを獲得するため?
- ☑️ ブランドを認知してもらうため?
それだけではありません。もっと具体的に考えてみてください。
「サイトを見た人に、次にどうしてほしいのか」
この問いに答えることが、情報設計の出発点です。
ECサイトなら、たとえば:
- 🛒「商品詳細を見てもらう」→「カートに入れてもらう」→「購入を完了してもらう」
でも、その前に:
- 🧐 「どうやって商品を知ってもらうのか」
- 🧐 「なぜこの商品を選ぶべきなのか」
- 🧐 「購入後、どうサポートするのか」
この一連の流れ全体の中で、サイトはどこを担当しているのか。どこから先は別の手段(電話、メール、実店舗など)に任せるのか。
この役割の線引きこそが、情報設計の第一歩です。
視点2:ユーザーの「行動」を起点に考える
情報設計において、私が最も重視しているのが「ユーザーの行動を起点に考える」という視点です。
以前の記事「サイト改善は『動詞』で考える。小さなジャーニー設計のすすめ」で詳しく書きましたが、ユーザーの行動を「動詞」で考えると、自然と情報の構造が見えてきます。
たとえば、ECサイトなら:
- 1:商品を「知る」
- 2:詳細を「見る」
- 3:レビューを「読む」
- 4:カートに「入れる」
- 5:購入を「決める」
この一つひとつの動詞に対して、必要な情報は何か、どんな導線が必要か、どの指標を追うべきかが明確になります。
「充実した商品説明」(名詞)ではなく、「ユーザーが商品を理解する」(動詞)で考える。
これが、情報設計におけるユーザー視点の実践法です。
視点3:「伝わる基本」を整備する
最後に、どんなに良い設計をしても、それが機械(検索エンジンやAI)に正しく伝わらなければ意味がありません。
SEO、AEO、LLMO。呼び方は変わっても、本質は同じです。
小手先のテクニックではなく、情報を適切に構造化し、きちんと伝えること。
情報アーキテクトとして多くのサイトを見てきましたが、うまくいっているサイトは、例外なく基本ができています。
- ✅ 見出しは、見出しタグ(h1、h2、h3…)で構造化されているか
- ✅ リストは、リストタグで正しくマークアップされているか
- ✅ 重要な情報は、構造化データで機械に伝わる形になっているか
「ドがつくほどの基本」と言うと地味に聞こえるかもしれません。でも、この基本こそが、長期的な成果を生む土台なんだとここ数ヶ月AEOやLLMO周りの実践してきて感じたことです。
過去、構造化マークアップを丁寧に施したページよりも、技術的には整備されていないページの方がAIの検索結果に掲載されるケースもありました。当時は「技術よりも信頼性(被リンク)が重視されているのでは」と考えましたが、AIの進化は早く、状況は日々変わっています。
正直、何が最適解かは分かりません。AIの進化は早く、今日の正解が明日には変わっているかもしれない。
だからこそ、私は基本に立ち返ることを選びました。
流行を追うのではなく、「情報を適切に構造化する」という本質を大切にする。
ありきたりに聞こえるかもしれませんが、結局ここに行き着くんです。
実践のサポートツール
構造化マークアップは技術的なハードルがありますが、通販サイトの商品ページで必要な構造化データを簡単に作成できる無料ツールも公開しています。
技術的な知識がなくても、基本的な情報整備ができるよう、サポートしています。よかったらアクセスしてみてくださいね。
情報設計は、「つくる前」から始まっている

情報設計というと、「サイトを作るときの作業」だと思われがちです。
でも、実は違います。
情報設計は、つくる前から始まっています。
- ❗️そもそも、このサイトは何のためにあるのか
- ❗️ユーザーに、どんな体験をしてほしいのか
- ❗️サイトの役割は、どこまでなのか
こうした「そもそも論」を考えることが、情報設計の本質です。
情報アーキテクトとしての私の仕事は、クライアントと一緒にこの「そもそも論」を考え、それを具体的な構造に落とし込むこと。時に痛いところに目が行くこともありますが、本来の目的を見失わないようにしたいものです。
そして、その構造が「伝わる」形になるよう、細部まで設計することです。
まとめ:情報設計の3つの視点を、明日から実践しよう

情報設計は、難しいものではありません。
以下の3つの視点を意識するだけで、あなたのサイトは大きく変わります。
- ✅ サイトの「役割」を定義する — 何を載せ、何を載せないかを明確に
- ✅ ユーザーの「行動」を起点に考える — 動詞で一歩先を想像する
- ✅ 「伝わる基本」を整備する — 構造化、マークアップの徹底
自分のサイト、自分のサービスは、毎日向き合っているからこそ見えない盲点があります。
外部の視点や第三者の言葉を通して初めて、曖昧だった課題が明確になることがあります。
私たちコミュニケーション設計所の「伴走」は、丸投げではありません。クライアントと一緒に考え、一緒に動く。その協働を通じて、真の改善が生まれると信じています。
もし今、あなたのサイトに「どこか煮え切らない」感覚があるなら、それは情報設計を見直すタイミングかもしれません。
情報アーキテクトとして、私ができることは、つくる前に、一緒に「そもそも論」から考えること。
そして、「伝わる」を創造すること。
情報を載せるだけでなく、設計する。
その一歩から、サイトは変わり始めます。

著者:稲本浩介
コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる
。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina



