FAQのアクセスが多いサイトは、実は失敗している? ― 製造業の情報設計を変える逆説的アプローチ

公開日:2025/12/04

この記事をざっくりまとめると・・・

FAQのアクセスが多いサイトは情報設計が失敗している証拠?情報アーキテクチャの専門家が語る、FAQを「顧客の声を拾う装置」として活用し、製造業のウェブサイトを継続的に改善する逆説的アプローチ。展示会後のフォローにも活用できる実践的手法を解説。

・・・ということが書いてあります。

FAQのアクセスが多いサイトは、実は失敗している? ― 製造業の情報設計を変える逆説的アプローチ

展示会の後、同じ質問に何度答えていますか?

「納期はどれくらいですか?」
「最小ロットは何個からですか?」
「対応できる素材を教えてください」
展示会などで名刺交換した後、電話やメールでいただくこうした質問に何度も同じ答えをしていたりしませんか?
多くの製造業では、こういった「よくある質問」をFAQページにまとめています。

でも、そのFAQページ、本当に機能しているでしょうか?
というか、FAQページの機能ってなんなのでしょうか?

「FAQのアクセスが多い」は、喜べない

私が重点を置いている情報アーキテクチャ(IA)の視点から言えば、FAQページのアクセス数は少ない方がいい――これが持論です。
なぜなら、ユーザーがFAQページに辿り着くということは、「サイトの分かりやすい場所に情報が載っていなかった」ことの証明だからです。
それは、どこかにあるのかもしれません。しかし、見つからなかった。
見つからなかったので、ユーザーにとっては「無かった」のです。
ユーザーは本来、製品ページや技術ページで疑問を解決したいのに、見つけられずに仕方なくFAQに来ている。これは情報設計の失敗を意味します。

理想的なサイトとは、目的となる情報が目的にむけた手順通りに進み、FAQに頼らずとも目的を果たせるサイトです。
「FAQのアクセスが多い」という状況はサイトの情報設計を見直す、いいきっかけになります。

でも現実には、FAQは「顧客の声の宝庫」

とはいえ、FAQページには大きな価値があります。それは、ユーザーが本当に求めている情報がデータとして集約されているという点です。
「どんな質問が多いのか?」
「どの情報が不足しているのか?」
FAQは、顧客が求めているもの(ソリューションではなく、情報)を教えてくれる装置なのです。この宝を活用しない手はありません。
しかもFAQというのは基本的にテキストベースで作られていることが多いですから、編集においても作業費用がそこまで発生しないという利点があります。

FAQを「改善の起点」にする3つの実践方法

1. QとAを分けて、クリック数を計測する

最もシンプルで効果的な方法は、質問(Q)と回答(A)を分けて表示することです。
具体的には:

・初期状態では質問だけを表示
・ユーザーが質問をクリックすると回答が開く
・クリック数をGA4などで計測

こうすることで、「どの質問が最も多く見られているか」が数値で分かります。これがサイト改善の起点になります。

2. 頻出質問をコンテンツ化して、サイト全体に散りばめる

クリック数が多い質問=ユーザーの関心が高い情報です。この情報を、FAQに閉じ込めておくのはもったいない。
例えば:

✅「納期」の質問が多い → 製品ページに納期目安を明記
✅「最小ロット」の質問が多い → 各製品説明に最小ロット数を追加
✅「対応素材」の質問が多い → 技術ページで対応素材一覧を見やすく配置

FAQで分かったニーズを、サイト全体の情報設計に反映させるのです。
サイトだけじゃありません。ここで得られた情報は実際の営業活動や営業資料にも役立つ可能性だって十分にあります。

3. 改善サイクルを回す

この流れを継続的に回すことで、サイトは進化していきます:

・FAQのクリック数を計測
・頻出質問を特定
・その情報を適切なページに配置
・FAQへのアクセスが減る(=情報設計が改善された証拠)
・また新たな質問が浮上
・再度改善

FAQは「作って終わり」ではなく、サイト全体の情報設計を磨き続けるための羅針盤なのです。

FAQは”最終手段”ではなく”改善の起点”

製造業などBtoB企業のウェブサイトで大切なのは、「とりあえず情報を掲載する」ことではなく、「ユーザーが迷わず、目的を果たせる導線を設計する」ことです。
FAQページは、その導線が機能しているかを測る指標であり、さらに改善のヒントを与えてくれる装置だということを感じてもらえたでしょうか?

展示会で何度も同じ質問に答えている営業担当者がいるなら、それはサイトに載せるべき情報です。
そしてその情報を、FAQだけでなく、サイト全体にどう配置するかを設計する――それがコミュニケーション設計であり、情報アーキテクチャの本質です。
FAQのアクセスが減っていくこと。それは、サイトが進化している証拠なのです。


弊社ではこういった少し俯瞰したところからウェブサイトの活用の仕方をご提案いたします。
お気軽にお問い合わせください。

代表 稲本浩介

著者:稲本浩介

コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる 。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina

FAQ

ときどきお尋ねいただくことをまとめました。

ECサイトの構築はできますか?
ご要望やご予算に応じて、モールへの出店、出品、自社ECの構築など最適なものをご提案いたします。ECサイトと言っても、商品構成や運用体制、顧客との関わり方などによって、構築方法や運用方法は大きく異なります。しっかりとした継続運用ができる環境を整えることができるよう一緒に考えましょう。
なお、弊社はmakeshopとパートナー契約を結んでおります。
商品の販促に関して相談することはできますか?
もちろんです。私たちはデジタルを活用した販促活動にこだわることなく、時にはアナログ(フィジカル)な販促活動もご提案します。様々な手法やツールを網羅的に把握することで最適解を導き出し、ご提案いたします。
ウェブサイトの解析はできますか?
主に、GoogleAnalytics(GA4)を活用し、解析を行います。サイトの特性に応じて解析期間などを設け、定期的にレポーティングも可能です。可能であれば一定期間のお取り組みの中で解析と改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことができればと考えております。