LLMO対策に振り回された1年。行き着いたのは『ちゃんと作る』だった
公開日:2025/12/25
この記事をざっくりまとめると・・・
2025年、LLMO/AIO/GEOといったトレンドワードに期待し、llms.txtの配置や構造化マークアップなど様々な施策を試しました。しかし1年間の試行錯誤の結果、行き着いたのは「ちゃんとしたコンテンツをちゃんとした構造でちゃんと作る」という基本でした。要するに「このコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」に答えられることが、LLMO対策の本質だったということです。
・・・ということが書いてあります。
はじめに – 期待と試行錯誤の1年
2025年、「AIO対策」「GEO対策」「LLMO対策」というキーワードをあちこちで目にしました。書店に行けば関連書籍が並び、ネット記事やSNSでも頻繁に取り上げられています。
正直に言えば、私も「新しい時代が来た」「新しいチャンスがある」と期待しました。「これは対応しなくては!」という気持ちになったし、儲け話になる気配すら感じていました。
実際、自社サイトで実験的にいろいろ試してみました。FAQ要素を入れてみたり、構造化マークアップを検討したり、llms.txtという施策を実施してみたり。創業して間もない時期だったこともあり、トライアンドエラーを繰り返しました。
そして1年が経ち、私が行き着いたのは、
「ちゃんとしたコンテンツをちゃんとした構造でちゃんと作る」
でした。
要するに、「このコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」に答えられることが大事だということ。当たり前すぎて拍子抜けするかもしれません。でも、これが一番のLLMO対策に向けた結論でした。
何を試したのか – 過去の記事を振り返る
この1年、私がLLMO対策として試したことを振り返ってみたいと思います。恥ずかしながら、今となっては「おかしな施策だった」と言わざるを得ないものもあります。でも、この試行錯誤があったからこそ見えてきたものがあるので、失敗も含めてオープンにしたいと思います。
2025年6月:「3つの具体策」を提示
まず6月12日、私は「LLMO対策とは? 3つの具体策と1つの心構え」という記事を書きました。
そこで提示したのは:
- FAQ形式のコンテンツを作る
- 構造化マークアップを活用する
- llms.txtを配置する
そして「1つの心構え」として、「ユーザーにとって必要な情報なのかという視点が大切」と書きました。今思えば、この時点ですでに現在感じている結論は出ていたのかもしれません。
でも、当時の私は「テクニック」の方に意識が向いていました。
2025年6月:llms.txtへの疑問
わずか2週間後の6月26日、「llms.txtは時間の無駄??」という記事を書きました。
GoogleのAIシステムはllms.txtを使っていないという記事を読み、「小手先感」を感じ始めていました。とはいえ、ChatGPTがllms.txtの情報を拾った経験もあり、完全に割り切れないでいました。
この記事で私は「ちゃんとしたデータ構造で、役に立つコンテンツを作る」という根底にあるものに気づき始めていました。
2025年7月:実験結果と「ちゃんと作れ」という結論
7月24日、「LLMO対策をしてみたつもりと今の結果」で実験結果を報告しました。
HTMLをきちんとマークアップし、構造化マークアップを施し、GBP(Googleビジネスプロフィール)も整備した結果、特定のキーワードでAIに認識されるようになりました。
そして、この記事で私はこう結論づけました。
「結局はちゃんと作れということ」
「ドがつくほどの基本がLLMO対策になっている」
なぜ「おかしな施策」だったのか
特にllms.txtについて、今では「おかしな施策だった」と思っています。
誤解しないでほしいのですが、llms.txtを置くという発想自体は間違っていないと思います。「AIにわかりやすく自社サイトの様子を伝える」ためにマークダウン形式のテキストファイルを「ここに概要が書いてありますよ」と置いておく。理屈としては理解できます。
でも、「おかしい」と感じるのは二点あります。
1. どうにでも書けてしまう
サイトの内容はさておき、このドキュメントファイルにはどのようにも書けてしまいます。もしこれが効果的であるならば、AIはサイトの実態とは異なる内容で学習してしまう可能性があります。
2. サイトを綺麗(見た目だけじゃなく)にするのが先では?
小手先のテキストファイルを用意することでAIが学習するなんて、そんな都合のいいことはないでしょう。テキストファイルにそれなりのことを書いていても、実際の記事が粗雑だと意味がありません。何より、ユーザーのためになりません。
llms.txtを置くこと自体は悪くないし、意味があるのかもしれません。でも、重心を置くべきものではないのです。
転機となったミエルカの動画
転機になったのは、ミエルカさんのYouTube動画を見たときでした。
そこで私は立ち戻って考えるべきだと反省しました。
結局、LLMOとかAIOとか言っているけど、SEOの延長じゃないか。
さらに言えば、SEO自体がユーザーのことを考えた情報設計(IA)じゃないか。
行き着いたのは、IAでした。
情報アーキテクト(IA)として10年やってきた私にとって、これは「納得」でした。葛藤というよりは、「やっぱりここに戻ってくるよね」という感覚。自分のベースにIAという基本的な概念が根付いているからこそ、遠回りしながらも帰ってこられたのかもしれません。
「ちゃんと」とは何か – 3つの要素
では、「ちゃんとしたコンテンツをちゃんとした構造でちゃんと作る」の「ちゃんと」とは、具体的に何を指すのでしょうか。
私なりに整理すると、大きく3つあります。
1. 情報としての「ちゃんと」
いくら網羅的にAIが情報を確認するとしても、単位としてはページ単位を繰り返して学習するものだと思います。
ということは、まずそのページにおいて情報設計が「ちゃんと」されていることが必要です。
冒頭に結論を持ってくる設計なのか、後半に持ってくる設計なのか。そこにきちんとした意図が含まれた上で、情報を設計すること。
2. HTMLを「ちゃんと」
情報構造が「ちゃんと」なっていても、HTMLでそれが記載されていないと意味がありません。
それはマークアップということは当然ですが、タグでどうこうするということだけでなく、idやclassの付け方もそうです。
これはあくまで私の肌感覚ですが、idにおいても例えば連番でsection01などと付けるよりも、意味を持たせたidをつける方がコードを読んだ際にAIの理解は早いはずです。
3. 読む相手のことを「ちゃんと」考える
あえて「相手」としたのは、この相手がこれまでは人だったわけですが、AIも含まれるようになっているということです。
コンテンツを作る基本としての「誰に何をどのように届けていくのか」という視点に目を向けるべきです。これは今も揺るぎません。
加えて言うと、IAの基本的な部分である「ユーザー」「コンテンツ」「コンテキスト」の3要素の大切さを改めて感じています。
実際に何をしているか
では、この「ちゃんと作る」を実現するために、私が実際にやっていることを具体的に書きたいと思います。
コンテンツをなんで作るのか?
何よりもまず、GA4などのアクセス解析データを見て、ユーザーがサイト内でどういう行動をしているのかを確認します。
その行動に寄り添うのか、いや新しい誘導をするのかを考え、そこに自分の持ちうるコンテンツ(商品など)をどのように差し込んでいくのかを検討します。
ここで、過去に記事化した「動詞で考える」が繋がってきます。
動詞で考えることで、クライアントが「想像できる」ようになってきた気がします。ユーザーの行動(=動詞)に寄り添うことで、「何でこのコンテンツを作るのか?」にも触れることができるようになってきました。
その上で構造の枠組みを考え落とし込みます。基本的にこれまでのやり方と変わりはしないのですが、少し意識を上げてきたという感じです。
FAQ的要素を入れる
ただ、やはりその上で「相手」にはAIも含まれると想定した際、FAQ的なものはコンテンツ内に入れておくべきだというのは新しく意識が生まれた箇所です。
これはAIという相手に向けた施策が起点ではありますが、実際に考えてみると人に対してもあった方がいいものであるというところに行き着いています。
コーディング技術の重要性
ノーコードやローコードができてきて、コーディング技術不要論は確かにあります。でも、やはりそこの理解があるかないかはコンテンツの質の面で差ができそうです。
「どういう技術を使って作るのか?」を理解していることは、やはり大事だと思います。
仕事の進め方は変わったか
正直に言えば、仕事の進め方そのものは大きく変わっていません。
日進月歩なことなので、LLMOやAIOの情報は集めていきます。でも、それを謳って仕事をするというよりは、コンテンツや基本的なことを徹底的に行うというスタイルになりました。
事実、各所で展開されている「LLMO対策」「AIO対策」と銘打って打ち出されているサービスの内容を見ると、「構造化マークアップ」であるとか「きちんとした情報の配置」であることが多いです。
しかし、これはSEO文脈でも言われることであり、結局はユーザーにとってわかりやすいか否かを語っているにすぎません。
基本的なことを忠実に行えていることが大切である、という理解でいます。
トレンドワードを否定しない
誤解してほしくないのですが、私は「LLMO」や「AIO」といったトレンドワードそのものを否定しているわけではありません。
話題のきっかけにはなります。これまで意識が向いていなかったことに意識が向いてくれることで、AIに情報を伝える、AIに拾ってもらうという文脈を経由しながらにはなりますが、ユーザーに情報を届けるという本質を見つめ直すことができます。
もちろん、「LLMO対策!」と謳いながら「結局それってSEOじゃん」というビジネスはいかがなものかと思いますが。
ビジネスとしては「LLMO対策します!」と打ち出した方が分かりやすいし、売りやすいかもしれません。でも、私があえてそうしないのは、それこそ小手先な感じがして仕方ないからです。
その影響でもっと仕事が取れたかもしれないという気持ちはないでもないのですが…。
まとめ – 「このコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」
1年間、LLMO対策に振り回された結果、私が行き着いたのは、
「このコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」に答えられること
でした。
「基本が大事」というのは少し抽象度が高い言い方かもしれません。もう少し具体的に言うと、「そもそもこのコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」に答えられないとダメだよね、ということです。
ただ作っているだけのコンテンツは、そこに物語もなく思いもありません。となると、そりゃAIだって推奨しないでしょう。
ウェブサイトだから云々の前のことを、もう一度ちゃんと答えられるようにしないとダメでしょ、という感じです。
- コンテンツをなんで作るのか?
- コンテンツを作るなら、どういう技術を使って作るのか?
- 誰に、何を、どのように届けていくのか?
これは、IAの基本であり、コンテンツ制作の基本です。
トレンドワードに振り回されることは悪いことではありません。でも、「このコンテンツは何のために作ってるんだっけ?」を見失わないようにしたいと思います。
基本をちゃんとやろう。それが、2025年のLLMOトピックから私が得た一番の学びでした。

著者:稲本浩介
コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる
。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina



