アクセス解析の基本:CVR改善の裏側で実数を見落としていませんか
公開日:2026/02/05
この記事をざっくりまとめると・・・
CVRやCTRなどの「率」だけを見て判断していませんか?アクセス解析では実数と率の両方を追うことが重要です。計算式の共有不足が招く見落としと、当たり前をちゃんとやることの大切さについて解説します。
・・・ということが書いてあります。
アクセス解析では数字を追うことが基本です。Googleアナリティクスを開き、セッション数、PV数、コンバージョン数といった指標を確認する。これは誰もが行う日常的な作業でしょう。
しかし、ここで注意が必要なのは「率」の数字だけを見てしまうことです。「今月はCVRが改善しました」「CTRが上がっています」と報告を受けたとき、その裏側にある実数まで確認しているでしょうか。
「率」だけでは見えないもの
例えば、こんな状況を考えてみてください。
「先月CVRが3%だったのが、今月は5%に改善しました」
一見すると良い報告に聞こえます。しかし、セッション数(訪問数)が1,000から300に減少していたらどうでしょう。実際の購入数(CV数)は30件から15件に半減しています。率は改善していても、ビジネスとしての成果は後退しているのです。
あるいは、母数が極端に少ない場合もあります。セッション数が50しかないサイトで、CV数が1件から3件に増えただけで、CVRは2%から6%に「急上昇」します。この状況を手放しで喜べるでしょうか。
こうした見落としが起きるのは、「率の計算式が共有できていない」ことが原因です。
率の計算式を共有する
Web解析では、CVRやCTRといった略語が頻繁に使われます。しかし、その意味や「何を何で割っているのか」について、チーム内で共通認識を持てているでしょうか。
CVR(コンバージョン率)の計算式
CVR = CV数(購入数/成約数/問い合わせ数) ÷ セッション数(訪問数/アクセス数)
CTR(クリック率)の計算式
CTR = クリック数 ÷ 表示回数(インプレッション数)
ここで注意したいのは、用語の揺れです。CV数は「購入数」「成約数」「問い合わせ数」とも呼ばれ、サイトの目的によって定義が変わります。セッション数も「訪問数」「アクセス数」と表現されることがあります。表示回数は「インプレッション数」「imp」とも言われます。これらはツールだったり関係する会社だったりで表現が異なります。
また先ほど示した計算式が異なる場合もあります。例えば、CVRというワードが使われながら、セッション数ではなくページビュー数で割っているということもあります。これは決して間違っているということではなく、サイトの特性によって判断されたものがほとんどです。
こうした用語の揺れがあるために、「CVRが改善した」という報告を受けたとき、その分子と分母が何を指しているのか、曖昧なまま会話が進んでしまうことがあります。
実数と率、両方を追う理由
率の数字は改善の方向性を示す重要な指標です。CVRが向上しているなら、サイトの訴求力やユーザー体験が良くなっていると考えられます。
しかし、率だけでは全体像は見えません。
- ✅ CVRが改善していても、セッション数が減少していれば売上は下がる
- ✅ CTRが高くても、表示回数が少なければリーチは限定的
- ✅ 母数が小さければ、わずかな変動で率は大きく変わる
だからこそ、実数と率の両方を追う必要があります。
具体的には:
- ✅ CVRを見るときは、CV数とセッション数も確認する
- ✅ CTRを見るときは、クリック数と表示回数も確認する
- ✅ 率が変動したときは、分子と分母のどちらが(あるいは両方が)変化したのかを把握する
当たり前をちゃんとやる
「実数と率の両方を見ましょう」というのは、当たり前の結論です。しかし、その当たり前が実践できていないケースは少なくありません。
特にレポートや会議の場では、率の数字が先行しがちです。「CVR改善」という言葉だけが一人歩きし、その裏側にある実数の変化を見落とす。あるいは、そもそもその率が何÷何で計算されているのか、共通認識がないまま議論が進む。
アクセス解析の基本は、数字を正しく読むことです。率の計算式を共有し、実数と率の両方を追う。この当たり前をちゃんとやることが、適切な判断と改善につながります。

著者:稲本浩介
コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる
。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina



