GA4×生成AI分析を実務で使う3つの注意点
公開日:2026/02/26
この記事をざっくりまとめると・・・
ClaudeやChatGPTのGA4分析は便利だけど、鵜呑みは危険。AIは必ず間違える前提で使うべきです。違和感を感じたら追加質問、最終判断は自分で行う——実務で使える3つのチェックポイントと判断フローを具体例付きで紹介。
・・・ということが書いてあります。
前回のおさらい:生成AIは「気づき」を与えてくれる
前回の記事では、GA4データを生成AI(Claude、ChatGPTなど)に渡して「何か気になるところはない?」と聞くだけで、自分では見落としていた異常値や改善ポイントが浮かび上がることをお伝えしました。
実際に、クライアントサイトのアクセス急減の原因が「botアクセスの激減」だったと、生成AIの指摘から発見できた例も紹介しました。
でも、ここで重要なのは「生成AIの分析結果をそのまま信じてはいけない」ということ。役に立つ反面、間違いも起こすのが生成AIです。
今回は、生成AIの分析結果を実務で使う際に、私が実践している「鵜呑みにしないためのチェックポイント」を3つお伝えします。
生成AIは間違える前提で使う
まず大前提として、生成AIは必ず間違えるという認識を持つことです。
これはネガティブな意味ではありません。むしろ、この前提があるからこそ、生成AIを「道具」として正しく使えるようになります。
人間だって間違えます。データを見て間違った解釈をすることもあれば、見たいデータだけを見て都合よく判断してしまうこともある。生成AIも同じです。
だからこそ、「AIがこう言ったから正しい」ではなく、「AIの意見も参考にしながら、自分で納得できるかどうか」が判断基準になります。
チェックポイント1:違和感センサーを研ぎ澄ます
正直に言うと、私は生成AIの分析結果を検証する際、違和感を覚えるかどうかでしか判断していません。
「この数値の動き、本当にそう解釈できる?」 「この結論、少し飛躍しすぎていない?」
こうした違和感を感じたら、生成AIにさらに質問します。そのやり取りの中で、自分が納得できるかどうかを見極めていきます。
違和感センサーはどう鍛えるか
この「違和感センサー」は、一朝一夕で身につくものではありません。私の場合、これまでGA4のデータを見続けてきた経験、そしてデータだけに依存しない状態で考察してきた背景が影響していると思います。
例えば:
- ✅ このサイトのユーザーは、だいたいこういう行動パターンをとる
- ✅ この業界では、この時期にこういう動きがある
- ✅ このページ構成なら、直帰率はこれくらいが妥当
こうした「肌感覚」があるからこそ、生成AIが出してきた数値や解釈に対して「ん?」と思えるわけです。
逆に言えば、生成AIにGA4分析を任せるからといって、自分にデータ分析のノウハウが不要になるわけではないということです。最終的に「これは正しいか?」を判断するのは人間です。
チェックポイント2:AIの結果を「参考意見の一つ」として扱う
生成AIから得られた分析結果は、あくまで「参考意見の一つ」です。唯一の正解ではありません。
データ分析において、結果から導かれる答えは一つではありません。 いくつもの可能性がある中で、AIが出してくる結果は「可能性の一つ」に過ぎないのです。
クライアント報告での実践例
私がクライアントに分析結果を報告する際は、こんな構成にしています:
- ✅ 生成AIの分析結果を裏付けデータとして掲載
- ✅ 「AIはこういう回答をしているが、それらを踏まえてこう思う」という論法で自分の考察を提示
例えば:
「生成AIの分析では、PV/セッション比率の異常値からbotアクセスの可能性が指摘されています。この指摘を受けて実際のアクセスログを確認したところ、特定のIPからの機械的なアクセスが先月比で80%減少していることが確認できました。したがって、今回のアクセス減少は実ユーザーの減少ではなく、bot排除によるものと判断できます」
このように、AIの意見を「きっかけ」として使い、最終的には自分の判断を明確に示すことで、クライアントの納得感も高まります。
チェックポイント3:データだけに依存しない
少し逆説的な話になりますが、データに偏らない分析という視点も大切だと考えています。
GA4の数値はもちろん重要です。でも、数値だけを見ていても、本質的な「なぜ?」にはたどり着けないことがあります。
数値の向こう側にある「人間」を見る
例えば、直帰率が高いページがあったとします。生成AIは「ページの読み込み速度が遅い可能性」「コンテンツとユーザーの期待がミスマッチ」など、データから推測される理由を挙げてくれます。
でも、実際にそのページを見てみたら「そもそもファーストビューが真っ白で何も表示されていない」という致命的なバグがあった——こういうことも起こります。
数値を見るだけでなく、実際のユーザー体験を想像する。場合によっては、自分で実際にサイトを操作してみる。こうした「人間的な視点」が、データ分析をより正確にします。
外部データとの組み合わせにも可能性
今後、私が試してみたいのは、GA4以外のデータとの組み合わせです。
例えば:
- ✅ 気象データ(雨の日と晴れの日でアクセスパターンは変わるか?)
- ✅ 業界イベントデータ(展示会の開催日前後でどう変化するか?)
- ✅ ユーザー属性データ(ただし個人情報の観点から慎重に)
GA4単独では見えない文脈を、外部データと組み合わせることで見えるようにする。生成AIは、こうした複数データソースの統合分析でも力を発揮してくれるはずです。
実践で使える判断フロー
最後に、生成AIの分析結果を実務で使う際の判断フローをまとめておきます:
- 1:生成AIにデータを渡し、「気になるところ」を聞く
- 2:AIの指摘に対して、違和感を覚えるかチェック
- 3:違和感があれば、AIに追加質問して深掘り
- 4:AIの回答を参考にしながら、自分で納得できるか検証
- 5:必要に応じて、GA4の探索機能や実際のサイトで確認
- 6:最終判断は自分で行い、その根拠を明確にする
このフローの中で、生成AIは「壁打ち相手」のような役割を果たしてくれます。自分の考えを整理したり、別の角度からの視点をもらったりするパートナーです。
まとめ:生成AIは「考えるための道具」
生成AIを使ったGA4分析は、確かに強力です。でも、それは「考えることを代わりにやってくれる魔法の道具」ではありません。
むしろ、「より深く考えるための道具」だと捉えるべきです。
- ✅ 自分の見落としに気づかせてくれる
- ✅ 違う角度からの意見をくれる
- ✅ 考察の壁打ち相手になってくれる
こうした使い方をすることで、生成AIは最大限に力を発揮します。
最終的に判断するのは人間です。データ分析の経験や、サイトへの理解、ユーザーへの想像力——これらは、生成AIがいくら進化しても、人間が持ち続けるべきスキルです。
生成AIと人間、それぞれの強みを活かした分析スタイルを、ぜひ実践してみてください。
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著者:稲本浩介
コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる
。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina



