私は情報アーキテクトという職を名乗っています。別に資格試験があるようなものではありませんが、自分自身を情報設計の専門家として位置付けています。今回は少しこの情報アーキテクチャの視点から「促す」ということについて書いてみようと思います。
行動を起こしてもらうために伝える
過去の記事でも書きましたが、私たちは何のために情報を伝えているのかということを考えると、それは「行動を促すため」ということが答えの一つであると言えます。
例えば、私がよく携わる「通販」という文脈で言えば、キャンペーンの情報を渡すことで「購入する」という行動を消費者に促します。発送メールを送るということで「到着まで待つ」という行動を促します。
これらは比較的わかりやすい例ですが、では、コーポレートサイトだとどうでしょうか?「会社情報を伝える」とか「会社に雰囲気を伝える」とかでしょうか?でもそれって、会社視点です。サイトを見る人の側に立った時どうでしょう?どういう行動を促したいでしょうか?
例えば、「問い合わせをする」という行動を促すためだったり「採用エントリーを申し込む」という行動を促すためだったりでしょうか。
不足する主語
先ほどの通販の例で考えれば、解像度はかなり低いですが「消費者」という主語を置くことができます。しかし、コーポレートサイトの例だとさらに解像度が荒くなってしまいます。
主語が不足すると、いわゆるターゲットが曖昧になり目的がよくわからないサイトになってしまいがちです。
そこでよく「ペルソナ」を考えるわけですが、ここで主語の解像度を上げる・・ということになります。
どんな人がこのサイトを閲覧しているのか・・・です。主語の解像度をあげることで伝える先が明確になりコンテンツのあり方がやりやすくなります。これはよく言われていることでしょう。
導くために必要なもの
こうやってターゲットを明確にすることでコンテンツが精錬されて行くというのは事実ですが、やはり届けてなんぼというのを忘れてはいけません。情報アーキテクチャは「理解のデザイン」と言われることがあります。そして、この「理解」という言葉は「わかりやすさ」と「見つけやすさ」という2つに分けられるとされています。ここに冒頭の「行動を促す」ということを付け加えて考えてみた時、「わかりやすさ」や「見つけやすさ」を作り上げて行くにあたり必要な「導く(ナビゲートする)」という発想が必要になると私は考えています。
では「導く(ナビゲートする)」ために必要なことはなんでしょうか?
少し話は変わりますが、ここでカーナビをイメージしてもらおうと思います。想像してみてくださいね。
車に乗ります。カーナビに目的地を設定します。カーナビが目的地までナビゲーションをしてくれます。
さて問題です。ナビゲーションにおいて最も必要な情報とはなんでしょうか?
答えは・・現在地です。
現在地がわからないとナビゲーションはできないのです。
別の例で想像してみましょう。
あなたは会社で電話を受け取りました。「すみません、御社の場所がわからないのですが・・」と相手がいいます。
その時あなたは何を聞きますか?
おそらく「今どちらにいらっしゃいますか?」ではないでしょうか?
そしてさらに「どちらの方向をむいていらっしゃいますか?」とかじゃないでしょうか?
もう一度言います。
“現在地がわからないとナビゲーションはできないのです。“
情報設計においても現在地が重要
話を戻します。「行動を促すため」に情報設計をするのであれば、ユーザーの現在地をどこまで把握できるかというのが大切なのです。
ペルソナはわかった。その上で、例えばそのユーザーがそのページ来た時の「現在地」をどう設定するかでコンテンツのあり方や促し方や導き方が変わってくるのです。
情報設計において必要な3要素として「ユーザー」「コンテンツ」「コンテキスト」という要素がありますが、この「コンテキスト」に該当するものを考えるにあたりベースとして持っておきたいのがこの「現在地を確認する」という行動だと私は思っています。
現在地の理解でコミュニケーションは変わる
ユーザーの現在地を理解すると、導くために本当に効果的なものはウェブサイトなのか?と疑問に思うこともたくさん出てくるかと思います。それはおそらく自然な発想であり、概ね正解です。そういう経験が多かったので、この会社を立ち上げたというのが私の本音のひとつだったりします。
そして、少しここで視点を広げてみますが、別にこの考え方は「制作」に限ったことではありません。
この現在地を把握するということは、クライアントであったり仲間であったり様々なシチュエーションで使えるメソッドだと思っています。
現在地を把握することを理解しようとする=相手のことを理解しようとするということにつながるのですから、当然といえば当然なのですが。。
まとめ
今回は情報設計の専門家の視点から「促す」ということをテーマに書いてみました。
促すためには現在地を確認することが大切であるということを感じてもらえたら幸いです。
このお話はその先にUXデザインとかにも繋がって行くものだと思っていて、私のコミュニケーション設計の土台になっているものです。
弊社ではこのような視点での情報設計やコミュニケーションデザインを軸にした各種販促計画支援を行なっております。
またこのあたりをテーマにした社内研修講義などにも対応できますので、ご興味ご関心があればお問い合わせくださいませ。