
デザインが新しくなった、その先は?

サイトリニューアルが完了しました。デザインが新しくなりました。見た目もモダンで、スタイリッシュ。
それは素晴らしいことです。でも、そこで終わってしまっていませんか?
新しくなったデザインで、ユーザーにどんな行動をとってほしいのか。そこまで考えられているでしょうか。
前回の記事「SEO対策に夢中で、忘れていませんか?サイト内の基本改善」で、「来てくれた人に、何をしてほしいのか」を言語化することの大切さについて書きました。読んでもらえましたでしょうか?読んでいないという方はぜひこちらのリンクから確認をしてみてくださいね。
今回は、その「言語化の仕方」について、もう少し具体的にお話しします。ポイントは今回タイトルにもした「動詞で考える」ということです。
なぜ「名詞」ではなく「動詞」なのか

ビジネスの現場では、どうしても「名詞」で語りがちです。
「ユーザーが分かりやすい購入方法」
「ユーザーに充実したサポート体制」
「ユーザーが信頼できる情報」
これらは決して間違いではありません。でも、少し視点を変えてみてください。
「ユーザーが分かりやすく購入する」
「ユーザーが気軽に相談する」
「ユーザーが情報を理解する」
動詞で考えると、どうでしょう?自然と「その次」が気になりませんか?
購入するために、何が必要だろう?
相談した後、どうなるんだろう?
理解した後、次に何をしてほしい?
動詞で考えると、自ずと次のステップを想像しやすくなるのです。
いわゆる「カスタマージャーニーマップ」は範囲が広すぎる?

世の中には、UXデザインを深めるための素晴らしいツールがたくさんあります。カスタマージャーニーマップもその一つです。
ユーザーの体験を時系列で可視化し、各タッチポイントでの感情や行動を設計する。理想的なアプローチです。
でも、正直に言うと、範囲が広すぎて難しく感じることはないでしょうか?
認知から購入後のフォローまで、すべてを網羅的に考えなければならない。それはそれで正しいのですが、「今日から始めよう」と思うには、少しハードルが高い。
もっと小さく、もっと気軽に始められる方法はないだろうか?
そう考えたときに、たどり着いたのが「動詞で考える」というアプローチでした。
「一歩先」を動詞で考える

動詞で考える利点は、小さく始められることです。
たとえば、サイトに訪れたユーザーが最初にすることは何でしょう?
「知る」かもしれません。商品やサービスの存在を知る。
その次は?
「理解する」でしょうか。それが自分に必要かどうか、理解する。
さらにその次は?
「比較する」。他の選択肢と比べてみる。
「相談する」。疑問点を問い合わせてみる。
「申し込む」。実際にアクションを起こす。
このように、動詞で「一歩先」を考えていくと、自然とユーザーの行動の流れが見えてきます。
そして、一歩先が考えられれば、そこからさらに一歩先を考える。基点からは二歩先です。
訓練していけば、自ずといい感じになる。
これが「小さなジャーニー設計」です。壮大なカスタマージャーニーマップを最初から描く必要はありません。動詞で一歩ずつ、積み重ねていけばいいのです。
名詞で考えるとたまにユーザーが消える

先ほど挙げた例をもう一度。ついビジネスで語りがちな
「ユーザーが分かりやすい購入方法」
「ユーザーに充実したサポート体制」
「ユーザーが信頼できる情報」
という言い方ですが、
「分かりやすい購入方法」
「充実したサポート体制」
「信頼できる情報」
とユーザーというものを外した言い方でもそれなりに耳心地としてはいいものとして表現できてしまいます。
名詞で終わるということは主語を曖昧にできてしまうということです。
私はこれはリスクと思っているので、動詞で考えよう・・と思うわけです。
実践:動詞リストを作ってみよう

では、実際にやってみましょう。
あなたのサイトに訪れたユーザーに、どんな行動をとってほしいですか?動詞で書き出してみてください。
例1:ECサイトの場合
- 商品を知る
- 詳細を見る
- 他の商品と比較する
- レビューを読む
- カートに入れる
- 購入を決める
- 情報を入力する
- 注文を完了する
例2:BtoBサービスサイトの場合
- 課題を認識する
- 解決策を知る
- 事例を確認する
- 資料をダウンロードする
- 担当者に相談する
- 提案を受ける
- 導入を検討する
- 申し込む/契約する
動詞で並べてみると、どうでしょう?
「あれ、この動詞の次、サイトに導線がないな」
「ここで迷わせてしまっているかも」
「この動詞、飛ばしすぎじゃないか?」
そんな気づきが生まれませんか?
動詞で考えることは、UXデザインの始め方のひとつ

ここで誤解してほしくないのは、これが「UXデザインの代わり」ではないということです。
カスタマージャーニーマップやペルソナ設計、ユーザーテストなど、本格的なUXデザインの手法は、やはり重要です。
でも、すべてをいきなり始めるのは難しい。
だから、まずは「動詞で考える」ことから始めてみてはどうでしょう?
これは、UXデザインへの入り口です。小さな一歩です。
動詞でユーザーの行動を想像する習慣がつけば、自然と「ユーザー視点」が身についていきます。そして、その先にある本格的なUXデザインへも、無理なく進んでいけるはずです。
さあ、動詞で考えてみませんか?

デザインが新しくなった。それは素晴らしいことです。
そして、その先を考えてみましょう。
ユーザーに何をしてほしいのか。
どう行動してほしいのか。
動詞で考えることで、サイトは単なる「見た目」から、「体験を設計する場」に変わります。
まずは5つでも、10個でもいい。いっそ1つでもいいのです。
動詞を書き出してみましょう。
その一歩が、あなたのサイトを変える始まりになるはずです。

著者:稲本浩介
コミュニケーション設計所代表/情報アーキテクト
「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる
。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。
▶︎ X(Twitter): @sevenina



