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世界は検索の中だけじゃないと、改めて気づいた

2026年1月、Googleがある特許を取得しました。

「特定のユーザーに合わせたAI生成コンテンツページ」——企業のランディングページをリアルタイムで評価し、品質が基準を下回ると判断した場合、Googleが生成したAIページに差し替えるというシステムです。

この特許についての解説は、別の記事に書きました。

https://cdef.site/google-ai-landing-page-patent

ここでは、この特許を情報設計という視点から読んで、自分が何を考えたかを書いておきたいと思います。

「ページの情報設計」から「情報のパーツ設計」へ

これまで情報設計という仕事は、大きく言えば「どこに何を置くか」を考える仕事でした。

サイトの構造をどう設計するか。ページの中でどの情報を優先するか。ユーザーの動線をどう引くか。

しかし今回の特許が示す世界では、そのような「ページ単位の設計」はGoogleのAIが引き受けていく可能性があります。ユーザーごとに最適化されたUIを、リアルタイムで生成する。

Forbes Japanの記事はこう書いています。「あなたの仕事は、もはや『目的地』を作ることではない。『パーツライブラリ』を作ることだ」と。

これを読んで、少し先まで考えてしまいました。

「ページを設計する」から「情報のパーツを設計する」への移行は、情報設計という仕事の重心を変えることを意味します。問いが変わります。「どこに置くか」ではなく、「何をどんな粒度で切り出すか」が問いの中心になっていく。

野菜と規格の話

ここで野菜を例に話をしたいと思います。突然ですみません。。

野菜を市場に流通させるには、規格があります。大きさ、形、品質。規格に合ったものはそのまま流通に乗り、規格外のものは加工されて別の形で流通に乗ります。

情報も、これに似た構造になっていくのではないか、と思っています。

規格に合った情報——正確で、構造化されていて、AIが正しく読み取れる形で整備された情報——はそのまま流通に乗ります。つまりAIが正確に取得し、適切に表示してくれる。

規格から外れた情報は「加工」されます。AIが解釈し、書き換えて届く。それが今回の特許が示す世界のように思えます。

「自分の情報が、形を変えて届く」——titleタグの書き換えはすでにその入口で、今回の特許はさらに深いところまで踏み込んできます。

では「規格」とは何か。構造化マークアップ(Schema.org)はその一つですが、それだけで答えが出るとは思っていません。形式的な規格だけでなく、情報の意味や文脈のレベルでの設計が必要になってくる感覚があります。ただ、それが具体的に何かは、正直まだ言語化しきれていません。

そして、改めて気づいたこと

考えていくうちに、あることに気がつきました。

この話は全て、「ユーザーが検索をする世界」の話だということです。

確かに検索の世界は広いです。しかし、ユーザーが検索しない情報には、この特許は一切関係がありません。

「検索されない」ということは、弱さではない場合もあります。

飲食店の常連客は、食べたいときにお店を「検索」しません。直接向かいます。営業をしなくても相談が来る関係は、検索を経由しません。そこにはファンがいます。

検索という「流通経路」を前提にしない情報の届け方——それはブランドであり、ストーリーであり、コミュニティです。

両方を設計する、という視点

「検索のある世界」と「検索のない世界」。

情報設計という仕事の射程は、本来この両方をカバーしています。検索結果に乗るための構造設計も、検索を経由せずにファンに届くための体験設計も、根っこは同じ「情報を届ける」という問いから来ています。

今回の特許をきっかけに、この二つを改めて並べて見直してみたいと思っています。

「Googleの動きに対応する」という守りの文脈だけで考えるのではなく、「そもそも情報はどう届くべきか」という本来の問いに戻る機会として。

世界は検索の中だけじゃない——ということを、改めて、自分への問いとして置いておきたいと思います。

著者:稲本浩介

著者:稲本浩介

コミュニケーション設計所代表 / 情報アーキテクト

「わかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」を常に考える福岡の情報アーキテクト(IA)。前職では主にWebサイト制作にディレクターやエンジニアとして関わり、ホームセンターや老舗菓子メーカーのEC事業の構築および運用にゼロから携わる。その活動は、ウェブサイトの枠に限定せず、動画やイベント実施などコミュニケーションという視点でのわかりやすさを追求。大学や社会人講座、企業における講演経験もあり多方面にて活動中。

▶ X(Twitter):@sevenina